「平和な世の中を一変した未曾有の出来事と法律」
2020.3
新型コロナウイルス感染拡大
当時の飲食店経営者の父親に直接取材して、それを元にレポートを作成しました。
この大きな歴史的な事例も、人間の記憶からは少しずつ忘れ去られてしまうような気がして、一度、我が家が直面した『危機』をまとめて、その時の法律との関わり合いも調べてみました。
2020年4月7日
当時の安倍首相は、緊急事態宣言を発出しました。特別措置法45条に基づいて、要請は出来るものの強制力は無いというものでした。しかし、その要請の中には、普段の散歩などは良いが家族以外の会食は控える。と言及しました。もちろんその他にもたくさんの要請がありましたが。我が家は、飲食店経営です。その未曾有の危機の中心的業種でした。営業停止、とは言わないが、とてもとても普通営業できるような空気ではなかった。
2019年父親の店も、開業5年を過ぎて、軌道に乗りアベノミクスの影響もあったのか、右肩上がりで順調に売り上げを伸ばし、2店舗目を出店しようかと、新規スタッフも一年前くらいから雇用し、店長候補として指導教育をしてきた。人件費はかさんだが2店舗目を出店するまでの投資と考え、大きな人件費の出費も受け入れていた。結果もついてきていた。2019年の年末は、最高売り上げを出して終わり、2020年は飛躍の年だと意気込んでいた。その最中に新型コロナウイルス感染拡大が始まった
。とにかく、当時、会社は人件費多過であった。
緊急事態宣言が発出される前、2月の中旬からすでに横浜の飲食経営者仲間から、情報が来ていてダイアモンドプリンセスという、得体の知れないウイルスに感染した人々が乗っている、豪華客船が到着した。そしたら、お客さんが全く来なくなったと聞いていた。それを受けて父は3月からまず、アルバイトを全て止めた。雇い止めである。当時、雇用についての法律に詳しければ、給付金などの処置をパート、アルバイトにできたかもしれないが、法律は素人にはとても理解が難しい。正直なところ手をつけづらい。更に未曾有の会社の危機で頭は半パニック状態で、雇い止めをする以外浮かばなかった。パートさんからは、ものすごい剣幕で怒られたが、アルバイトスタッフは全員去って行った。社員だけ残った。
4月からの緊急事態宣言期間は、会社も事態を重くとらえ店内飲食無しの、テイクアウト営業のみとしたかったが、弁当や惣菜の販売は、飲食店経営の保健所申請とは別に、追加で弁当惣菜販売の許可が必要との事。ここでも、法律という壁が立ちはだかった。もちろん、その時の飲食店は、こぞって何か収入が必要なので、保健所への申請が殺到した。更に、感染者の対応で保健所は、パンパン状態。なかなか、検査の順番が回ってこない。しかし、そんな事は言ってはられない状態で、テイクアウト営業を始めた。法律違反なのかは今でもわからない。考えたくもない。コロナ前に繁盛していただけあって、飲食店応援も兼ねて、たくさんのお客様が購入していったが、全然収入は、足りない。少しばかりの内部留保金も、あっという間に流れていった。その時の、政府は緊急の補正予算で、持続化給付金を企業にばら撒いた。こんな事の当事者になるのは、もちろん初めてで、東日本大震災の時に被災者地域の方々にも、いろいろな形で給付があったが、正直、他人事であった。この、世論が賛否両論あった飲食店への給付金がなければ、我が家の今はなかった。そしてもう一つ、3年間無利息無担保で緊急融資が行われた。もちろんすぐに申請に行き、700万円融資を受け、なんとか持ちこたえる糧にした。この時に、すぐさま行動しなかった経営者は、もしかしたらこの出来事を乗り越えられなかったかもしれない。
緊急事態宣言が、5月に終了したが、もう、マスコミやネット、ウワサなどの何を信じていいかわからない世の中になってしまった。感染すれば、持病のある方、お年寄りは肺炎で亡くなる。かの、志村けんさんや岡江久美子さんが、亡くなったのだ。世間を震撼させた。「ブーマーリムーバー」という言葉まで出てきた。年寄りを排除するウイルス。少子高齢化の歯止めになる、とまで極端なウワサまで、Twitterで現れた。少し咳をすれば、ジロリと睨まれ、他人が触れた物はウイルス、みたいな。社会と関わって認知革命を経て進化し生き残ってきた、ホモサピエンスは、それを遮断され、人を疑う世界になってしまった。しかし、そんな事では人類は、屈しない。メッセンジャーRNAワクチンという、未だかつてないスピードで開発が進められ、成功。未曾有のウイルスも、人類のイノベーションがすぐに上回る図式になっていた。そして、テクノロジーの発展。ネット社会が超加速した。テレワークや、オンライン飲み会など、今まででは考えられない状態になった。法律の下では、強制力の無い「要請」も、人の目や、同調圧力といった理由で、世間から排除されるような行動はできなかった。飲食店で酒を飲むなんて、とんでもないことだった。法律と世論。法律や司法が正しくても、世論の大きな動きで、大きく状況は変わってしまう。そして、マスコミの過剰な報道によって、世論は、大きく動いてしまう。では、マスコミは誰が動かしているのだろうか。スポンサー企業なのか、政府なのか。誰にしても大きな判断です。これによって、大きく経済が動くわけですから。利益企業、政府、政策官僚の関係は、法律を大きく上回る力があるのかもしれない。
この、3年近くなる疫病は、なにを私たちに感じさせたのか。飲食店経営者として、マスコミの中でも真ん中で、話題を呼び、同情や批判も受け、離れていったご年配のお客様もたくさんいた。コロナ前と後で、この業界は全く世界が下方に変わってしまった。人の不幸は話題になるが、人が利益になった様な事はあまり話題にしたがらないのがマスコミで、コロナ禍で増益したネット関係の企業や証券会社、マスク消毒の小売業などたくさんある。この疫病によって、たくさんの方の命が亡くなったり、生まれるはずだった子供が時期的に先送りになったりもしたが、もっと大きな経済の動きがあったと思う。新型コロナウイルスというものは、武漢で発生したかもしれないが、その後の人類の動きが経済(お金)を動かして、格差社会を拡大させた。相対性貧困率がとても高い日本の自殺率は先進国トップで、こんなに豊かな国なのに、自ら命を絶ってしまう。法律もしっかりとしていて、治安もとても良い。食べ物も水も溢れている。明日の食糧の無い地域や、戦争真っ最中の地域とは全く違う世界。そのような国は、法律も何も無い。まさに無法地帯。だから、「足るを知る」という事なのかと思います。父親に取材をしながら、コロナを振り返り、その時、法律は飲食業では、どのように働いていたかを、直に聞くことができた。実は、法律は普段の生活ではあまり気にならないが、とても密着していて法律によってたくさんのものが決められており、国民はそのルールの下で自由にしていい。ある程度の自由と、ある程度のルールで、民衆が生きやすい時代に合った生活を日々法改正などで追求しているのだと、未曾有の疫病で知ることになりました。
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