太陽にたどり着くまで・17

12年ぶりに「うれしたのし屋」に、今度は社員として戻り、バイトとして退社してから、今まで身につけた料理やノウハウ、レシピなど全てを出し切ろうと誓っていた。

料理については、イタリアンや日本料理屋、フレンチ、婚礼会場などで他分野から仕入れたが、この会社は違った。『素材への想い』だった。全くと言っていいいほど、その時の自分にはノーマークだった。料理の勉強や修行は頑張ってきたけど、そこの視点は確かに欠如していた。

料理の基(ベース)になっているものとは、その素材であり、それを提供している『生産者』であると。

そこに、あくまで味付けしてサービスを乗せて、消費者に提供しているのが飲食店である。ゆえに『生産者』と消費者の橋渡し的存在である。

現在、消費者と生産者の距離があり、生産者に素材を食べた人たちの想いが伝わらず、孤立していて活性化していない、との視点。それを改善すべく、消費者と生産者を直結させる業務、飲食業。

その考えに全面的に賛同し、では今までの事をどう生かすかで、最高の状態に料理して提供すること、と考えた。が、素材がいいのだから、素材そのものをあまり手をかけずに、素材を食べてもらおう。という視点であったんです。なるほど、確かに。しかし、自分のコンセプトとは少し違うかな。

とは言っても、取り組んでいる事柄は、本当に先駆者で、農家や漁師が捨ててしまうような、野菜や魚を譲ってもらい、加工し安価に大盛りで提供する。生産者としてはゴミがお金になる。提供者としては安くB品素材が手に入る、手間はかかるが原価は低い。

ここまでは、なんとなく思いつく。しかし、みんながやろうとしても、頑固な生産者はそう簡単に受け入れてはくれないんです。もちろん人ですから、適当な人間に自分が育てた子供のような野菜や、命懸けで荒波を乗り越えて獲ってきた魚を、譲るわけがないんです。ここで、相手にどれだけの思いの丈があるのか、納得させられるのか、覚悟があるのかが問われるんです。それができますか?という事です。

『太陽』も、もちろん生産者たちに、全面的にプレゼンしたのですよ。

という、想いのとても強い、下澤社長に受け入れてもらい、うれしたのし屋での生活がスタートしたのです。

まずは行動、ではまた明日。

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